水道屋に直撃する「2024年問題」。緊急対応は残業規制の対象外?罰則を回避する3つの対策
「深夜2時に『トイレが溢れた!』と電話が来れば、行くしかない」
これが水道屋の宿命であり、プライドでもありました。
しかし、2024年4月から本格適用された「建設業の働き方改革(時間外労働の上限規制)」は、その常識を許してくれません。
「お客様の緊急事態だから、残業規制は関係ないですよね?」
そう思っている経営者の方、要注意です。
災害レベルでない限り、通常業務の延長とみなされ、違反すれば「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科される可能性があります。
1. そもそも「上限」は何時間?
法律で定められた残業(休日出勤含む)の上限は、原則として以下の通りです。
- 原則: 月45時間・年360時間以内
- 特別条項(繁忙期など): 年720時間以内(休日労働を含めると月100時間未満、2〜6ヶ月平均80時間以内)
1日2〜3時間の残業を毎日していたら、あっという間にアウトになる数字です。
2. 緊急対応は「労働時間」になるのか?
⚠️ 「待機時間」の扱いに注意
「電話が鳴るまで自宅で寝ていていいよ」というオンコール待機。
これは基本的に労働時間には含まれません。
しかし、「電話が鳴ったら現場へ移動して作業する時間」は、完全に労働時間(深夜残業)です。
この積み重ねが、年間上限を圧迫します。
※大規模災害(地震や台風)の復旧工事に関しては特例で規制が外れますが、日常の水漏れ対応は「災害」とは認められません。
3. 罰則を受けないための3つの対策
では、緊急対応をやめるしかないのでしょうか?
現実的な対策は以下の3つです。
① 「24時間対応」の料金を上げる
深夜対応の料金を大幅に引き上げてください。
「高いなら明日でいいや」という顧客を増やし、本当に緊急性の高い案件だけに絞ることで、稼働時間を減らせます。
② 持ち回り制(シフト制)の導入
「全員がいつでも出られる」状態をやめ、当番制にします。
当番の日は昼間の業務を休ませるなど、勤務間インターバルを確保しなければ、労働基準監督署の調査で指摘されます。
③ 報告業務のDX化(時短)
現場から帰ってきて、深夜に事務所で日報を書く…。これが一番のムダです。
スマホで現場写真を撮って送信するだけで報告完了になるアプリなどを導入し、「移動と作業以外の時間」を極限まで削ることが、残業削減の切り札になります。
「昔ながらの働き方」では会社を守れない。
法律が変わった以上、経営のやり方も変えなければ、社員も会社も守れません。
建設業に特化した労務管理の相談や、業務効率化ツールの導入支援も行っています。