「顧客は個人」の水道屋でもインボイス登録は必要?免税事業者のままでいいケース・ダメなケース
「うちは近所の一般家庭の修理がメインだから、インボイスなんて関係ないよ」
そう思って登録を見送った一人親方、ちょっと待ってください。
本当に、お客様は「100%」一般消費者でしょうか?
もし、仕事の中に「不動産管理会社からの依頼」や「店舗の修繕」が1割でも混ざっているなら、未登録は命取りになります。
今回は、水道屋が判断に迷う「登録・未登録」の境界線を、専門用語抜きで解説します。
1. 「お客様が誰か」で決まる
インボイス(適格請求書)が必要なのは、お客様が「消費税を納めている事業者(課税事業者)」の場合だけです。
- 相手が一般消費者(サラリーマン家庭など): インボイスは不要。未登録(免税事業者)のままでOK。
- 相手が会社・個人事業主(飲食店、大家さんなど): インボイスが必要。未登録だと、相手が損をする(消費税控除ができない)ため、嫌がられる。
2. 水道屋によくある「隠れB2B」の罠
「うちはB2C(対個人)だ」と思っていても、以下のような仕事はありませんか?
⚠️ これらは全て「インボイスが必要」です
- アパートの大家さんからの水漏れ修理依頼
- 不動産管理会社経由のメンテナンス
- 地元の定食屋さんの厨房配管
- 同業の仲間からの応援要請(人工出し)
これらのお客様は、経費として消費税を引くためにインボイスを欲しがります。
あなたが未登録だと、「消費税分(10%)値引きしてよ」と言われるか、最悪の場合「登録している他の業者に変える」と言われます。
3. 登録しても「2割特例」なら怖くない
「登録したら消費税を払わないといけないから、手取りが減る…」
その通りですが、今は激変緩和措置があります。
これまで免税だった人が登録した場合、納税額を「売上でもらった消費税の20%」だけで済ませられる「2割特例」が使えます(2026年9月分まで)。
例えば、税込み550万円の売上があった場合、本来50万円払うところを、10万円の納税で済みます。
この金額で「取引先との信用」を守れるなら、安い経費とも言えます。
まとめ:今後どう働きたいかで決める
「完全に近所のおばあちゃん家の修理だけで生きていく」なら、免税事業者のままで構いません。
しかし、「管理会社の仕事も欲しい」「応援にも行きたい」「事業を大きくしたい」なら、登録は必須のパスポートです。
目先の納税額だけでなく、将来の売上機会を考えて判断しましょう。
「事務作業」が苦手な職人さんへ。
インボイスに登録すると、請求書の書き方や確定申告が少し変わります。
、一人親方向けの税理士紹介や、スマホで完結する請求書作成ツールの導入支援も行っています。