「膝に水が溜まった」は労災になる?しゃがみ作業の多い職人が知っておくべき認定の境界線

膝の痛みに耐える職人のイメージ

「朝起きたら膝がパンパンに腫れている」
「正座ができない、階段が降りられない」
しゃがみ作業の多い配管工や内装職人にとって、膝のトラブルは職業病とも言えます。

しかし、病院に行って「仕事のせい」と言ったのに、労災として認められなかった…というケースが後を絶ちません。
なぜなのか?どうすれば認められるのか?その仕組みを解説します。

1. 「ケガ」か「病気」かで難易度が変わる

労災には大きく分けて2種類あります。あなたの膝の痛みはどちらでしょうか?

💡 A. 業務災害(ケガ):認定されやすい

「重い荷物を持って立ち上がろうとした瞬間に『ブチッ』と音がした」
「現場で段差につまずいて膝をひねった」
このように「いつ、どこで、何をして痛めたか」が明確な突発的な事故は、スムーズに労災認定されます。

⚠️ B. 職業性疾病(病気):認定が難しい

「長年の作業で徐々に水が溜まった」「いつ痛めたか分からないが、最近痛い」
これは「病気」扱いになります。
この場合、「仕事が主原因である」ことを証明するハードルが非常に高くなります(加齢や体重、私生活の運動不足のせいではないか?と疑われるため)。

2. 病院での「最初の一言」が命取り

もし労災を申請するなら、絶対にやってはいけないことがあります。
それは「健康保険証を出して、普通に診察を受けること」です。

受付で必ずこう伝えてください。
「仕事中のケガなので、労災を使いたいです」

一度「健康保険(私傷病)」で処理してしまうと、後から「実は労災でした」と切り替える手続きは非常に面倒で、病院側にも嫌がられます。
まだ会社の手続きが終わっていなくても、「労災予定」と伝えれば保留にしてくれる病院がほとんどです。

3. 自分の膝を守る「プロの装備」

労災認定を待つ間も、仕事は待ってくれません。
膝を壊して引退しないために、以下の対策は必須です。

  • ハードシェル型ニーパッド: ホームセンターの簡易的なサポーターではなく、外側が硬いプラスチックで覆われたもの。小石や釘の上についても痛くありません。
  • 台車の活用: スライディングボードや、キャスター付きの作業椅子(クリーパー)を使い、膝を床につける時間を1秒でも減らすこと。

まとめ:痛い時は「いつやったか」を思い出せ

「慢性的な痛み」だと諦める前に、直近で「特に痛みが走った瞬間(きっかけ)」がなかったか思い出してください。
その「きっかけ」が業務中の明確な動作であれば、労災(ケガ)として認められる可能性が高まります。
我慢して働き続け、歩けなくなってからでは遅いのです。

一人親方の労災、ちゃんと入っていますか?

「自分は社長だから労災は関係ない」は大間違い。
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