銅管ろう付けで「裏側にロウが回らない」のはなぜ?隙間を埋める「熱の誘導」テクニック
「手前は綺麗にロウが盛れているのに、鏡で裏を見たら穴だらけだった…」
「これ以上ロウを溶かしても、ボタボタ垂れるだけで隙間に入っていかない…」
銅管のろう付け(ハンダ付け)において、見えない「裏側」の処理は最大の難関です。
なぜ、ロウは裏側に回ってくれないのでしょうか?
それはあなたが、「ロウを入れたい場所」ばかり炙っているからかもしれません。
1. ロウは「重力」ではなく「熱」で動く
多くの人が勘違いしていますが、ろう付けは溶けたロウを重力で流し込む作業ではありません。
狭い隙間に液体が吸い込まれていく「毛細管現象(もうさいかんげんしょう)」を利用しています。
溶けたロウには、「温度の高い方へ吸い寄せられる」という習性があります。
つまり、手前ばかり炙って手前の温度が高ければ、ロウはずっと手前に留まり続け、温度の低い裏側には絶対に行きません。
ロウを裏に回したければ、「裏側を一番熱く」すればいいのです。
2. 「裏から炙って、表から差す」が鉄則
隙間なく埋めるための正しい手順は以下の通りです。
- 裏側加熱: まず、見えない裏側(配管と継手の隙間)を中心にバーナーを当てて加熱します。
- 熱の確認: 銅管全体が桜色(適切な温度)になったら、炎を少し遠ざけます。
- 誘導: 炎を当てていない(または炎の向こう側の)裏側の熱を利用し、表側からロウを差し込みます。
裏側が十分に加熱されていれば、手前から差したロウが「シュッ」と裏側に吸い込まれていくのが分かるはずです。
まるで魔法のように見えますが、これが物理法則です。
⚠️ 「隙間」が広すぎてもダメ
毛細管現象は、隙間が狭いからこそ発生します。
配管を斜めに差し込んでいたり、拡管(スウェージング)がガバガバで隙間が広すぎると、吸い込む力が働かず、ロウは下に垂れ落ちてしまいます。
加熱の前に、「真っ直ぐ、適度なキツさで差し込む」ことが成功の8割を決めています。
3. 仕上げの「目視」をサボらない
「吸い込まれたから大丈夫だろう」という過信は禁物です。
必ずデンタルミラー(点検鏡)を使って、裏側に「エンゼルリング(全周にロウがはみ出た線)」ができているか確認しましょう。
このひと手間を惜しむと、耐圧試験で泣くことになります。
「なぜ?」を知れば、技術は一生モノになる。
我々の研修では、ただの手順だけでなく、こうした「物理的な理屈」から溶接・ろう付け技術を指導しています。
未経験者を最短でプロに育てたい企業様は、ぜひカリキュラムをご相談ください。