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グリストラップ汚泥の違法処理で法人3億円罰金。知らないでは済まない廃棄物処理の正解

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「先輩がいつも生ゴミと一緒に捨てていたから、うちもそうしています」。ある飲食店の設備改修に入った際、現場スタッフからそんな言葉を聞いた。悪意はない。ただ、誰も正しく教えていなかっただけだ。しかし廃棄物処理法のもとでは、その「先輩のやり方」が法人に最大3億円の罰金をもたらす可能性がある。問題は現場の習慣ではなく、経営者が法律を正確に把握していないことにある。

グリストラップの中身は3種類に分かれる

グリストラップとは、飲食店や給食施設の排水経路に設置された油脂分離槽のことだ。調理排水から油脂・汚泥を取り除き、公共下水道を守る設備として建築基準法や下水道法のもとで設置が義務付けられている。清掃の頻度は施設の規模にもよるが、バスケット部分は毎日、水面の油は週に1〜2回、底泥は月に1回が目安とされることが多い。

ここで重要なのは、グリストラップの内容物が法律上3種類に区別される点だ。廃棄物処理法(廃掃法)の解釈では、以下のように整理される。

グリストラップ内容物の法的区分
バスケットのゴミ
食材の残渣など。事業系一般廃棄物として処理。
水面に浮いた油
廃油として分類される産業廃棄物。
底に沈んだ泥
汚泥として分類される産業廃棄物。

バスケットのゴミだけが一般廃棄物で、浮き油と底泥はいずれも産業廃棄物になる。この区別を正確に知らずに運用している現場は、今も少なくない。

違反した時に責任を負うのは誰か

産業廃棄物の処理には、廃棄物処理法第12条に基づく委託基準がある。許可を持つ収集運搬業者・処分業者に委託し、マニフェスト(産業廃棄物管理票)を交付・保存しなければならない。これは業種を問わず、グリストラップを持つ施設の「排出事業者」に課せられた義務だ。

では違反した場合、誰が責任を取るのか。廃棄物処理法では、不法投棄や委託基準違反に対して以下の罰則が定められている。

廃棄物処理法違反の罰則(廃掃法第25条・第32条)
  • 個人:5年以下の懲役、または1,000万円以下の罰金
  • 法人:最大3億円以下の罰金(両罰規定)

注目すべきは「両罰規定」という仕組みだ。法人の代表者や従業員が違反行為をした場合、行為者本人だけでなく法人そのものも処罰対象になる。つまり、現場スタッフが知らずに汚泥を生ゴミに混ぜて処分していたとしても、その責任は排出事業者である会社、そして経営者に及ぶ。「うちのスタッフがやったことで、私は知らなかった」は、法律上の免責事由にならない。

マニフェストの運用で実際につまずく場面

産業廃棄物の処理を許可業者に委託することは理解していても、マニフェストの運用で失敗するケースがある。電子マニフェスト(JWNET)か紙マニフェストのどちらかを選べるが、紙の場合は交付から90日以内に2次マニフェストの写しが返送されなければ都道府県知事への報告義務が生じる。この期限を見落としたまま放置し、後から指摘されるパターンが現場では多い。

もう一つの落とし穴は、清掃業者が産業廃棄物収集運搬の許可を持っているかどうかを確認していないケースだ。グリストラップの清掃を請け負う業者の中には、バスケット清掃(一般廃棄物)は対応できても、汚泥・廃油の収集運搬許可を持っていない業者が混在している。契約前に許可証の種類と有効期限を必ず確認することが、排出事業者側の義務でもある。

排出事業者 許可収集運搬業者 許可処分業者 委託 引渡し マニフェスト交付 90日以内に写し返送
産業廃棄物の流れとマニフェストの経路。排出事業者は90日以内の写し返送を確認する義務がある。

「感覚で運用」をやめるために経営者がすべきこと

現場での誤った処理は、多くの場合「誰も正しく教えなかった」結果だ。入社時に口頭で「こうやればいい」と伝えられ、それが引き継がれていく。問題が発覚するのは、行政の立入検査か、取引先からの指摘か、最悪の場合は摘発されてからになる。

経営者としてまずやるべきことは、社内で使っているグリストラップ清掃業者の許可証の確認と、マニフェストの保存状況の棚卸しだ。廃棄物処理法では、マニフェストは5年間の保存義務がある。この帳票が揃っていない時点で、すでに違反状態にある可能性がある。

経営者が確認すべき3点
  • 委託先業者の産業廃棄物収集運搬・処分許可証の種類と有効期限
  • マニフェスト(紙または電子)の交付・保存状況(5年分)
  • 90日ルールの管理体制(紙マニフェストの場合)

法律の条文を丸暗記させる必要はない。しかし「なぜその手順が必要なのか」という根拠を現場スタッフが理解していれば、「先輩がそうしていたから」という理由で誤った処理が続くことはなくなる。コンプライアンスは仕組みと教育の両輪で初めて機能する。

まとめ。法的リスクは「知らなかった」で消えない

グリストラップの汚泥・廃油は産業廃棄物であり、許可業者への委託とマニフェスト管理は法律上の義務だ。違反した場合、法人には最大3億円の罰金が科される両罰規定が適用される。現場の慣習ではなく、廃棄物処理法の根拠に基づいた運用ルールを整備することが、経営者の責務として求められている。今日の確認作業が、将来の取り返しのつかないリスクを未然に防ぐ。

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