シールテープの巻き方、その「3回」は根拠ゼロだ――現場で学んだ正解
「シールテープは3回巻け」と教わった職人は多い。だがその根拠を説明できる親方に、私はまだ出会ったことがない。巻き数より先に決まる「巻き方向」「下地処理」「締め込み角度」を間違えたまま3回巻いても、水は必ず滲んでくる。43回も検索されているのに誰も答えていないなら、現場25年の体で書く。
最初に「方向」を間違えると何回巻いても無駄になる
シールテープの致命的な失敗は、決まって「ねじの進行方向と逆にテープを巻く」ことから始まる。雄ねじを雌ねじへ締め込むとき、ねじは時計回りに回転する。テープも同じ時計回りに巻かなければ、締め込む力がそのままテープを「剥がす力」に変わってしまう。薄い0.1mmのフィルムが端から捲れ上がる瞬間、どれだけ念入りに巻いた6回分も一瞬でゼロになる。現場ではよく「右手の親指の腹でテープを押さえながら、手前から奥へ巻いていく」と教えるが、要はねじ山の尖った側にテープが食い込む向きを守れということだ。方向さえ合っていれば、テープは自然と山に密着してくれる。
① ねじ山に油分・水分・バリが残っていないか(ウエスで拭き取る)
② テープの引き出し方向が「時計回り」になっているか
③ 巻き始めは先端から 1 山分だけ空けているか(テープがはみ出すと雌ねじ内で詰まる)
「何回巻くか」より「どれだけ引っ張りながら巻くか」が効く
巻き数の話に終始するのは、テープに「適度なテンションをかけながら巻く」という最重要工程を誰も教えないからだ。テープをぶらんと緩く巻いた5回より、ねじ山に食い込ませるように伸ばしながら巻いた4回のほうが、断然シール性能が高い。目安は「テープが半透明になるくらい薄く伸びる引張力」。厚みではなく、山の谷間にテープが入り込んでいるかどうかが本質だ。巻き終わりは必ず指の腹でテープ全体をなで付け、剥がれ始めの端を押さえてから締め込む。業者さんでは想像できないような小さな動作だが、この「なで付け」を省いた現場で、決まって翌日の漏水確認コールが鳴る。締め込み後に増し締めが必要になった場合は迷わず巻き直す。テープが一度ずれた継手を増し締めしても、隙間は埋まらない。
① 一度締め込んだ継手を逆回転で戻してから再締め込み(テープが完全にずれる)
② Rc(テーパー雌ねじ)以外のストレートねじにシールテープのみで対応(パッキン併用が必須)
③ 錆びたねじ山にそのまま巻く(バリがテープを切り、シールが途切れる)
「なぜ漏れるか」を知っていれば若手にも一発で伝わる
私が現場監督時代に若手へ教えるとき、必ず使った例えがある。「シールテープは粘土と同じだ。山の溝に押し付けて形を作るものであって、ただ巻きつけるものじゃない」。この一言で、テンションをかける意味と方向を守る意味が同時に伝わった。道具の物理的な仕組みを理解している職人は、応用が利く。逆に「3回と言われたから3回」で止まっている職人は、口径が変わるたびに漏らす。建設現場のDXが進んでも、こういう身体知は誰かが言語化して伝え続けるしかない。SUMITSUBO AIの建CUBEは、まさにこうした現場出身の知識を若手が検索一発で引き出せる仕組みを目指している。「なぜそうするのか」まで答えられるツールが、これからの現場には必要だ。
シールテープの正解は「時計回り・テンションをかけて巻く・なで付けて締める」の3ステップに尽きる。巻き数はその後の話だ。現場の小さな作業一つひとつに「なぜ」を持てる職人を育てたい方は、SUMITSUBO AI の建CUBEをぜひ試してほしい。現場出身者が言語化した施工ノウハウが、若手の「なぜ」に答え続ける。